プレイステーション2をバラす

1、2、3、4、という宣伝文句と共に、12年3月4日に発売されたプレステ2。
定価は¥39800、何故かほとんどの店で定価販売の上、キャッシュバックやポイントサービス等の事実上の値引きもほぼ無く、つまり、たかがゲーム機に4万円以上を払え、という無茶な話(笑)のため貧乏な私は買うことが出来ませんでした。 まあ、個人的意見としては、「4万もするハードを買ってまでやりたい面白そうなゲームが無い」というのが買わなかった大きな理由なのですが。これで、同時発売で欲しいソフトが出てたら多少無理をしてでも買っていたのでしょうが…。
それで、やっぱり・・・
買ったけど使わないから貸してくれる、という人がいましたので、早速借りてきました。しかも、分解の許可付きで。
と、いうわけで、早速分解です。
ちなみに、分解するとメーカーの保証は受けられません。もし壊してしまった場合、最悪の場合はメーカーの有償修理も受け付けてもらえない可能性があります。真似をしたい人は、自己責任でお願いします。

・まず、使ってみて
少し使ってみて思った点は、こんな感じです
・互換性を保ちつつ排他的な周辺機器(笑)
 たしかに、コントローラ、メモカは上位互換なんですが…。あれ?マルチタップが。
・不便なAVマルチアウト
 まあ、スペース&コスト的には仕方ないんでしょうね。PS、DC、SSを繋ぎ変えて使っている私には、いちいちケーブルごとつなぎ変えないといけないので、非常に不便です。
 コンポジットビデオケーブルが付属(だったはず)ってのも疑問。最近のテレビはS端子付きも多いのに。だいたい、旧PSを持ってる人は一本余るし。
・最悪なDVD再生クオリティ
 画質が最悪。こんなもの実用にならず(笑)
 でも、もしかして普通に売っている2万円位のDVDプレーヤーってこんなもんだったりするんでしょうか?
・動作検証が出来ないIOポート(USB他)
 PCカード、I-link等のポートは対応ソフトが現在無し。USBマウス対応ソフトはたしかあったはず。つまり、初期不良があっても誰も気が付かないわけです。
 もし、保証期間が切れた後に初期不良があった場合、ソニーはどう対処してくれるのでしょうか?
・・・・なーんて、でも、別に、悪い点ばかりではありませんよ
・熱対策を考えたファン
 旧PSでは熱暴走が問題になりましたが、今回はその対策でしょうか。
 いくらゲーム機といえども、ここまでハイスペックになると、ファンがあるのは心強いですよね。
・8Mバイトのメモリーカード
 互換性を捨てたとはいえ、この大容量で3500円は安いでしょう。一本のゲームが平均でどのくらいの容量を使うのかにもよりますが…。
 将来的に、USBなどを使ってデータをパソコンに保存できれば最高でしょう。
・15KHz対応RGB出力
 やっぱり、NTSCゲーム機はこれに限りますね(笑)
 某N社のゲーム機みたいに、マルチアウトは旧ハードと互換のくせに、RGBだけ削除、などということは無かったです。
・フロントローディング
 上に物が置けるっていうの強み。他のゲーム機は上に物が置けないので、必然的に並べておくことになるが、とっても邪魔。
 しかも、旧PSのソフトも動くのだから、かなり便利。これで旧PSはいらなくなるかも。
 ・・・ん?3DO、MCD、NGCD(限定品)等々、フロントローディングのゲーム機は消滅する?それは気のせいでしょう。

・それでは本題
まず、分解する第一歩として、ネジを外してみましょう。普通は当然背面か底面にあるわけですが、PS2の場合、外にはネジは全くありません
まあ、よくあるパターンですが、上から蓋が付いていて、ネジを隠しています。
写真の黄色矢印の部分ですが、4すみだけゴム足、他はプラスチック製の蓋になっています。
この蓋を外して、矢印の6本のネジを外すと、裏蓋を外すことが出来ます。
ネジが2本だけ長いですね。あとで組み付けるときに解らなくならないように気をつけましょう
ここにネジが隠れています
蓋を外すと、普通の+ネジが出てきます
これがネジの蓋。
ゴム製とプラスチック製の2種類があります

・とりあえず基板裏
とりあえず裏蓋を外してみました。すると、基板はシールド版に覆われています。ここで、ネジを4本外すと、シールド版は外れます。ネジのある場所には→がついていて、正規サービスマンではない人にも解りやすいように親切設計になってます(笑)
このネジを外すと、シールド版は取り外せますが、放熱用のシートでICとくっついているので、少々強引に取り外すことになりますが、くれぐれもシールド版を曲げたりしないように気をつけましょう。
このシートは張り直しができますが、ゴミが付かないように気をつけましょう。
すると、右写真の様にメインボードの裏側が見えるはずです。パッと見た限り、部品点数などが非常に多いという印象は受けませんね。
配線密度も、旧PSとさほど変わらないでしょう。 しかし、大きさはありますね。SCPH-9000などはケース内がすかすかに空いていたのに対し、こちらはケース相当の大きさのボードです。
まあ、旧PSも初期の頃はメインボードも大きかったのですが。技術の進歩でしょうか?それとも、単なるコスト削減だったのでしょうか。

これが基板裏。右下のピンク色のシートが放熱用シート。
・基板を外してみよう
それでは、この基板を外して見ましょう。まず、4つのコネクターを外しましょう。すると、フラットケーブルの下から一本ネジが見えます。このネジを含め、ネジ(#2)3本を外します。ネジ(#1)は、放熱版と基板を固定している物なので、まだ外さなくても大丈夫です。
この3本のネジを外すと、基板を真上に持ち上げれば外れます。ただ、電源コネクターが基板直付けなので、取り外しにはそれなりに力を掛けます。が、まちがっても基板を折ったりしないようにしましょう。
たぶん、そんなことをしたら修理は受け付けてもらえないでしょう。そうでなくとも、修理代は新品を買うより高そうな気がします。
取り外した状態が右の写真です。すごいですね。
これが基板に放熱板(板?)が付いた状態。発熱量の凄さを物語っているのかも。

・見たいのはやっぱり基板の表
それでは、放熱板を外してみましょう。基板裏のネジ(#1)を6本外すと、放熱板を外すことができます。
放熱板を基板にぶつけると、あっさりパターンが切れてしまったりするので注意しましょう。また、基板上にはバッテリーバックアップ部分もあるので、電源が入っていないといえども、ショートなどにも注意は必要です。
もちろん、静電気などにも注意。部品、パターン、その他の金属部分には極力触らないようにするのが無難。基板の縁をもちましょう
これがメイン基板の表
外したシールド兼放熱板。凄いヒートシンク。

・部品がすごいぃぃぃ!
パッと見て目に付く部品に注目。作りが凄すぎる。本当にゲーム機?
左にあるコネクターが電源ユニットと繋がっています。つまり、この周辺が電源回路でしょう。
しかし、この部品点数の多さ。コイル、コンデンサーなどはノイズ対策の為でしょうか。
ヒューズも多数付いています。これは旧PSと同じ思想ですね。万が一どこかが故障した場合に、他の部分への影響を考えての事なのでしょうか。
PS2のメインチップとも言うべきなのか。
「Emotion Engine」(左)と、「Graphics Synthesizer」(右)
このICに限った事ではないが、PS2の基板はハンダ付けが表に出ていないICが多数。改造は辛い?
光輝くRambus-DRAM。容量は1個で16MB。型番は「59RM716GB−8」。東芝製800MHz版?
RDRAMなんて、パソコンでもまだ高嶺の花。贅沢に2つ使っている。

・ところで本体上部は
いままでは、本体下部を分解してみました。では、次は上を見てみましょう。本体裏側のケースについているまだ外していない蓋付きネジを4本外すと、本体上部のカバーを外す事ができます。 ケースにはしっかりシールドが貼ってあります。ノイズ対策なのでしょうか。上ケースを取り外すとき、電源やイジェクトスイッチが付いている基板へ配線が繋がっています。気をつけましょう。このスイッチ基板は、ネジ止めなどはされていないのでそのまま外す事ができますが、コツがいります。割ったり曲げたりしないように気をつけましょう。
左が下側、右が上側のケースです。どちらもシールドがしっかり貼ってあります。
とりあえず上ケースを外した状態。ケーブルがケースに繋がっているので注意。
左側奥の大きな電源基板が目立つ。左側手前がコントローラのコネクター、右側がDVDドライブ。
ケースから取り外したスイッチ基板。高価な青色LEDを贅沢にも使っている。S映像出力が無くなると1万円値下げできるゲーム機があるなら、赤色LEDに変更されると1万5千円くらい安くなるかも(爆)。

・電源はこんな感じ
電源ユニットはネジ4本とコネクターを一つ外すと取り外せます。なかなかな大きさのスイッチング電源。PS2の半分よりやや小さい位の大きさ。左下には、メインボードに繋がるコネクターが、右下には、AC100Vへ繋がるコネクターがあります。 メインボードへ繋がっているコネクタの拡大部。ここが、メインボードに直付けされているコネクターが直接ささる。 電源部のすぐ後ろにあるファン。ネジ穴と⇒は2カ所あるのですが、なぜか1本で止まってます。コスト削減?それとも、付け忘れ?ちなみに、某S社のゲーム機のファンより遙かに大きいです。
いったい、何A位の電流を取り出せるのでしょうか。PS2の基板上のヒューズは5Aなどが多数。と、いうことはそれ以上は大丈夫なんでしょうね。
ゲーム機がそんなに電力を消費するとは…。

・コントローラー端子
コントローラーコネクタ基板。ネジ1本で外れます。旧PSと同じく、この基板だけは独立しているのは、接触不良時の修理の対策でしょうか?ちなみに、この写真は実際にはさかさまです。 メインボードへ繋がっているフラットケーブルの拡大部。旧PSと互換性はなく、端子数が多い。つまり、1P/2P側でまったく別々に制御されていると言うことだろうか。

・DVD−ドライブ
DVDドライブは、ネジ(#2)2本を外すと取り外すことができます。また、DVDドライブ上部の蓋は、小さなネジ(#0)を4本外すと開きます。
取り外したDVDドライブ。旧PSの様にピックアップだけだ外れるのではなく、ドライブとして外すことができる。
ドライブの上部の蓋を外した状態。ごく普通のパソコン用CDドライブに極めて似た構造。旧PSより遙かに丈夫そうな作りではある。
これがピックアップ周辺の拡大図。駆動用のターンテーブルの中央がマグネットになっていて、右の写真の白い部品(プラスチック製だが、金属板が裏に付いている)との間にCDが挟まる構造。ごく普通のフロントローディング型CDと同じ。
ドライブの裏側。制御用チップ(写真ではクッションの裏なので見えない)が付いている。旧PSとは違い、これ単体がドライブとして動作するという事だろうか。
右側がメインボードへのフラットケーブル。端子数が多い。左のカラフルなコネクタは各部モーターへ繋がっている。色違いは誤配線を防止するための親切設計か?。
制御チップ周辺。フラットケーブルはピックアップ部分へ繋がっている。おそらく、ピックアップからのデータをある程度処理してからメインボードに渡すのであろう。MODチップを付けるならここか?

・分解とは全然関係ないおまけ情報。
さて、SCEIによると、PS2ではPS1用のゲームが一部不具合が出る物がある、ということです。
まあ、これは仕方ないとは思いますね。しかし、PS2発売以降に発売されたPS1用ソフトは大丈夫らしいです。

・・・・・・嘘をつくな!
まず、この画面写真を見てください。

良く見る人もいるはずです(笑)。
そう、とある業界では有名な、通称「RHP(レッドハンドプロテクト)」と呼ばれる画面です。
まあ、普通の人はお目にかからない場合が大半ですが、中途半端な技術しか無いのにコピーCDを動かそうとするバカどもが悩まされてるやつですね。
こんなもの、プログラムを書き換えるかMODチップを自作すれば簡単に回避できるのですが。※違法コピーは犯罪です!!
まあ、そんなことは別問題として、この画面をPS2で表示させると・・・。

・・・文字がまともに表示されてないじゃ無いですか。動作検証はどうなってるんですか、SCEI(笑)。
しかし、コピープロテクトが正常に動作しないのって、プログラマー側としては非常に悲しいのでは無いでしょうか。

・・・さて、この画面をPS2で見るにはどうしたらいいのでしょうか。
そりゃあ、コピーCDを起動しても見れるのですが…。まあ、普通は起動すらしませんが。
でも、見るのは簡単です!本体を分解する必要もありませんし、故障の心配もありません。普通に使って表示することができます。

方法は、「チェックの直前でディスクをイジェクトし、PS用以外のCDを入れる」だけでOkです。タイミングがシビアですが…。
ただし、チェック方法は第3世代(勝手に命名、たしかディノクライシスが最初)以降のものでないとダメです。

具体的な例を挙げてみましょう。餌食になるのは、「TETRIS with カードキャプターさくら エターナルハート」。PS2発売以降のソフトで、タイミングが非常に解りやすいです。
・・・しかし、何でこんなソフトなんでしょう。たぶん、私の趣味ですな。
交換タイミングは、ゲーム起動後、PSロゴ画面が消えて、「げーむで あそぶときは〜」のメッセージがフェードして表示されてくる瞬間です。
もう少し正確なタイミングは、この時に「ピックアップが内周から外周に向かってガッと音を立てて移動する直前」です。
このピックアップの移動音が聞き分けられると、どのソフトでもいつチェックしているかが解りますので、応用が可能です。

何度も言いますが、これはPS2本体に改造、分解などをする必要はありません。
必要なのは第3世代のチェッカーが付いたソフトと、PS用以外のCD(音楽でもパソコン用でもサターンでも)だけです。
ソニーの致命的なバグチェック忘れをお試しあれ!
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裕之  
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