不完全NTSC(1)
世の中亜流はたくさんある

カノープスHPFAQに、不正なビデオ信号が入力された場合、マクロビジョンによるコピーガードが検出された場合の動作という項目があります。

しかし、ここの不正なビデオ信号、とは何なのでしょうか。

ユーザーサイドから考えると、普通のTVで表示できる物はNTSC信号だと考えたくなりますが、実際にはそうではありません。
では実際に、本当の意味での正規のNTSC信号とは何でしょうか。
おそらくは、TVのテスト用などに使うカラーバージェネレーターなどは間違いなく正規の信号をだしてくるでしょう。
しかし、そんな物は普通持っていませんので、正規のNTSC信号に近い物としては、電波状態の良い所で受信したTV放送や、コピーガードのかかってないDVD(滅多にありませんが)を再生した場合などは近いと思います。

では、まず、そもそもキャプチャが出来ない場合が多い、ゲーム機の画像について考えてみましょう。
この場合、取り込めない物は、初代プレステ・サターンやそれ以前のゲーム機の場合がおおいのでは無いでしょうか。
ゲーム機というのは、ビデオカメラなどと違い、コンピューターそのものですよね。で、そのコンピューターの出力する画像というのは、最初のインターレース方式の説明でも触れましたが、静止画の場合がおおいです。
そのため、ゲーム機でもインターレース方式を使わずに表示する場合があります(というか、旧世代機はほとんどそうです)。
では、インターレースでは無い画像はテレビにどうやって映しているのかというと、本来、奇数/偶数と交互に表示される走査線を、奇数のみを連続で表示する方法を使用しています。そのため、よく画面をみると、走査線と走査線の隙間(つまり、偶数の走査線を書く場所)があります。
また、各フィールドの始めに、この画面は奇数なのか偶数なのかを判定する信号があります。それを調べて、TV側はこの画像を偶数奇数どちらの走査線に書くかを決定しています。
TV側は、ただ受け取った信号を交互に表示するのではなく、あくまで信号に記録されている信号を元に偶数奇数を決めているわけです。そうでないと送り側と受け側で偶数奇数が入れ替わってしまったりしますから。
で、インターレースをしていないゲーム機というのは、この判定信号を常にどちらか側にして信号を送り続けています。そのため、走査線は半分しか使用されない代わりに、インターレース特有の上下のぶれがなくなります。
また、TV側としてもあくまで信号を判定しているだけなので、特に交互になっていなくても問題は発生しません。
そのため、実際にはインターレースされてない画像でも、TVでの表示には全く問題がない訳です。
しかし、この画像をキャプチャしようとする場合は、話が変わってきます。
キャプチャでは、奇数と偶数の両方の画像を1枚にまとめ、保存をしています。
その場合、もし奇数ラインの画像だけしか送られてこなかった場合は、どうなるのでしょうか。
本来なら、奇数、偶数と交互に来るため、奇数がきた場合はまずバッファにキャプチャし、偶数がきた場合はキャプチャし、統合してファイルに書き出すとします。
しかし、もし片方だけしか来なかった場合、例えば奇数だけの場合は永久にファイルに書き出されませんし、偶数だけだった場合は奇数のバッファには何も取り込まれていませんので、奇数の部分には意味のないデーターの乗ったしましまの画像がキャプチャされてしまったりします。
もちろん、どちらかを連続してキャプチャした場合の処理を追加すればこれは回避可能なのですが、ドライバ側で対処できるかというと、それはハードウェアの仕様も関係してくるため、一概にバージョンアップのみで対処できるとも言えません。
これが、ゲーム機がキャプチャできない理由でした。
しかし、この方法だと、縦の解像度がどうしても半分になってしまいます。
そのため、最近の(プレ2やドリキャス以降)では、グラフィックの綺麗さを全面に押し出すためなのか、静止画が少なくなったからなのか、スペックが余ってるからなのかは知りませんが、インターレース形式の画像を出力するのが一般的になっているようです。
もちろん、このようなソフトはキャプチャすることが可能です。
また、インターレースを使うか使わないかは最終的にゲームソフト自体によって決まるため、一概にプレステはダメ、プレ2はOKというわけでもありません(大体そうなんですが)。


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裕之  
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