インターレースコム
PCモニターでTVを見るとギザギザに

MTVなどの高解像度キャプチャー(主に、640x480以上をとれる物)だと、インターレースコムという現象が必ずでてきます。これは、TV放送がインターレースで、PCモニタはノンインターレースの為にこのような現象が起きます。


たとえば、左の様な画像の四角内の拡大図が右です。

この様に動きのある場面では、横縞が発生します。これがインターレースコムという現象です。
特に、アニメなどの様に色や画像のエッジがはっきりしていて、時間前後の相関関係が少ない物ではこの現象は確認しやすいでしょう。

それでは、なぜ、このような現象が発生するのでしょうか。それは、インターレースの構造に原因があります。

インターレースでは、走査線を1本おきに書いています。そして、静止画2枚で1画面分の映像が構成されています。この2枚の画像の時間差について考えてみましょう。
まず、先の説明では、元々あるフィールドを、インターレースで2分割して表示していると説明しました。この動作について、次の2通りが考えられます。
まず、ある瞬間の画像を「A」としましょう。そして、その1/60秒後の瞬間の映像を「B」とします。

1)ODD、EVENそれぞれ別の画像を使用する。
ODDフィールドは「A」の奇数ラインを、EVENフィールドは「B」の偶数ラインを使用します。
ビデオカメラで撮影した映像は、ほぼ間違いなくこちらの方式です。

2)ODDの時の画像を2分割して使用する。
ODDフィールドは、「A」の奇数ラインを、EVENフィールドは、「A」の偶数ラインを使用します。
主に、PC等の編集機材を使って編集した場合、この方式を使用することが稀にあります。TV放送などではまず滅多に使用されませんが、DVDのマスタリングなどはPCやプログレッシブ機材で見ることを前提に考えた場合は、こちらの方式を使用する場合があります。

2)の方法を使用する場合、インターレースコムは発生しません。
ですので、1)の方法の動作を考えてみましょう。

ここで問題になるのは、「A」と「B」の画像が大幅に異なる場合です。
普通のTVは視覚的にはどうなるのでしょうか。
「A」が表示されますが、この画像はあくまで走査しているので、表示し終わると同時に、この画像は消えてしまいます。そして、その次に「B」が表示されます。
そのため、A→Bときちんと順番通りに表示されている事が解ります。

それでは、キャプチャーを介してPCモニターに表示する場合はどうでしょうか。まず、前提として、PCモニターはインターレスはしていません。
まず、ODDフィールドの画像がPCに取り込まれる訳ですが、その際、元の映像はインターレースなので、キャプチャした画像は走査線が1本おきに隙間が空くことになります。
それでは、画像に無駄に出来てしまい、編集も面倒になってしまうため、その隙間にEVENフィールドの画像も取り込み、その2フィールドをまとめて1枚の画像としてPCモニターに表示します。
この方法だと、動きのない映像を取り込んだ場合は、インターレース化される前の元の情報がそのまま取り込めた事になります。
しかし、動きのある画像を取り込んだ場合は、時間的に1/60秒のずれのある画像が2枚重なった映像となります。そして、その2枚の画像のずれの部分が、縞模様となってPCモニター上に現れます。
つまり、この縞模様が出ている画像が、元の映像ソースに対して忠実に取り込んだ(情報が欠落していない)画像という事になります。
また、ソフトウェアDVDプレーヤーを使用して、インターレースで作られたDVDを再生した場合も、まったく同じ現象になります(というか、それが最初の写真です)。

しかし、再生ソフトに、インターレース解除という機能がある場合、インターレースコムは適当に見やすいように処理され、縞模様は目立ちません。この処理は、ODD/EVENフィールドを比較し、差異が少ない場合は何もせず、差異が大きい場合はどちらかのフィールドのみを表示したり、お互いに混合してぼかしたりという処理をしています。つまり、元の映像ソースに何らかの処理が加えられている訳です。
見た目ではこちらの方が綺麗ですが、こちらは、元の映像ソースを忠実に再現していない事になります。


しかし、ここではPCモニターに限った話ですが、よく見ると普通のTVでも同様の現象が出ている事も確認できます。

最初の写真と同じ瞬間を普通のTVに映した写真です。これは、ブラウン管自体の残像と、カメラのシャッタースピードの関係でこの様に映っています。
この写真を見ると、まず、拡大部で縞模様が出ていることが解りますね。
あと、左側の画面の上半分が暗くなっていますが、これは、シャッタースピードと走査線の描画速度の関係です。シャッターを切った瞬間に走査線が画面を約1周半したという事です。

この様に、普通のTVでも、よく見るとインターレースコムは発生している事が解ります。ただ、PCモニターに比べて、はるかに気づきにくく、そしてスムーズに見えるようになっているだけの事です。

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裕之  
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