Me:sia分解

さてさて、ミーシャなる驚きの低価格のデジカメなんてものを借りてきました。

外見はこんな物で、非常に小さく、 非常に軽く、本当に中に何か入っているのか?、実はただの箱じゃないのか?、と思わせるような重量で、いかにもおもちゃ、って感じです。

まあ、実際値段も7800円と、おもちゃなのですが。
しかも、まあ、撮影能力も付属ソフトもどうしようもないようなもので、カメラとして実用性があるかは謎ですね。
そもそも、ミーシャホームページによると玩具店販売の「パーティーグッズ」ということらしいです。
付属品は、パソコン接続ケーブルと、専用ソフトだけ。しかも、CDシングルで。たしか、パッケージが説明書になっていた様な気がします。
と、いうわけで、この不思議なカメラを見てみましょう。
・開けてみよう
まず、裏を拝見。裏にあるのは、電源スイッチ、ファインダーのみ。もちろん、液晶などはありません。値段を考えると当然でしょう。
最近のデジカメの常識を考えると、撮った写真をその場で見ることが出来ないのは非常に不便な気がしますが、フィルム式カメラでは当然見ることが出来なかったので、これは値段を考えると許せるでしょう。
まあ、そんな事はあくまで「おもちゃ」として割り切ってしまえば、全然問題ないことでしょう。
私的に、それ以上に気になるのが、この不思議なデジカメの中身。何故この値段で撮影が?という、いかにもな方向性に走ってしまうわけです(笑)
と、いうわけで、とりあえず開けて見ましょう。本体裏を見ると、5個のネジ穴があります。値段を考えるとはめ殺しもあり得そうなのですが、きちんとネジ止めされていました。
ちなみに、分解するとメーカーの保証は受けられません。もし壊してしまった場合、最悪の場合はメーカーの有償修理も受け付けてもらえない可能性があります。真似をしたい人は、自己責任でお願いします。
・とりあえず開いた
ケース裏のネジを5本外し、ゆっくり裏蓋を開けると電池ケース、電池ケースの蓋、シャッターのスイッチが外れてきます。
電池ケースは基板に繋がっていますが、コネクターになっているので外すことが出来ます。このコネクターは配線を切らないように気をつけて引っ張っると外れます。無理に引っ張ると、線が切れたりハンダが外れたりするので気をつけましょう。
とりあえず、裏蓋を外して、外れる部品のみを外したのが右の写真です。左から、電池ケース、電池ケースの蓋、シャッタースイッチ、裏ケース、表ケース。
この時点で、「やっぱりほとんど何も入ってない」という印象を受けました。
これ以上はさらにネジを外さないと、分解することは出来ません。
・基板を外してみよう
ネジを基板の表から2本外すと、基板をケースから取り外すことが出来ます。
基板を外すと、裏から電源スイッチに被さっている部品が一緒に取れてきます。小さいのでなくさないように注意しましょう。この部品は、どうやら上下の区別は無いようです
それで、基板を見ると、最初に目に付くのは(というか、本体をバラした時点で目に付きますが)ちゃっちい(笑)レンズでしょう。使い捨てカメラ並ですね。
あと、主要部品としては、大きなICが画像保存用のSRAM、銀色の部品が20MHzのクリスタル、上部に基板に直づけされているシャッタースイッチ、右に付いているのが転送用のイヤホンジャック(と、同じコネクタ)です。
あとは細かなCR関連がバラバラと付いてますね。
つまり、この基板1枚でデジカメとしての機能が全て入っているわけです。「写るんですフラッシュ」とかに無理矢理つっこんで、適当にシャッターを連動させてフラッシュ付きとかにも出来るかもしれません(笑)。
・基板の裏は?
さて、ケースから基板を外すと、基板の裏を見ることが出来ます(当然か)。ここで気が付くのは、基板が多層基板ということです。すくなくとも3層以上はありそうです。まあ、最近では多層基板は珍しくないのですが。

表面にはメインとなる部品がSRAMだけだったのでで、こちら側に大半の部品が付いていると思っていたのですが、そうでもありません。
ICが3つと、小さなCRがたくさん付いているだけです。
動作状態の表示用の2色発光ダイオードなども基板に直付けされてますね。あと、いくつかある空きパターンは何なのでしょう。
しかし、一番驚くのはCPUが汎用部品を使っている、という事でした。
当然、CCDを使って撮影して、ADコンバーターなどを使ってSRAMに記録していると思っていたので、ADコンバーターやRAMを内蔵している専用CPUを使っているだろうと思っていたのですが、汎用部品の組み合わせでした。
専用ICを設計して部品点数を減らすより、汎用部品で作る方がコストが安上がりになるのでしょうか?
・これがCPU
で、これがそのCPUの拡大写真です。部品番号は何故かマジックで消してありました(笑)が、PIC16C62です。
これは、MICROCHIP社の1チップCPUの一つで、128バイトのRAM、2k×14ビットのROM(1命令は14ビット)、22個のIOポートを持っています。
20MHzでの動作が可能です。ただ、内部でクロックは1/4に分周されて動作しているので、5MHzで動作しているとも言えます。まあ、基本的に1命令1クロックで動くので、1チップCPUにしては結構高速に動作しているのですが。
ざっと見た限りでは、大半のIOポートが受光部に繋がっていました。まあ、詳しく回路を追ったわけではないのでわかりませんが。
PICにはADコンバーターを内蔵している物もあるのですが、このICは内蔵していません。
とすると、結局、この受光部は何なのでしょうか。と、いうわけで、次に進みます(^^;
・レンズを外してみる
レンズユニットを固定している2本の小さなネジを基板裏から外すと、レンズユニットを取り外す事が出来ます。
この状態が右の写真です。
とりあえず、ファインダーの横にある穴が、明るさの検出用かなにかで撮影の補助をしている物かと思ったら、完璧な飾りでした(おい)。穴の中には、明るさを検出するような部品は付いていませんでした。
レンズの作りも怪しいですね。たとえるなら、本とかに付録で付いて来そうな日光写真のカメラのレンズとか。・・・・・・たぶん同レベルです。
ただ、一応、ネジ穴は金属で補強してあるようです。なぜここだけ金属なのでしょう。基板やケースはプラスチックに直接ネジ止めしてあるのに。
もしかして、レンズだけなにか他のものと共用してたりするんでしょうか。トミーで、カメラみたいな物ってありましたっけ?
・受光部は何?
さて、右の写真が、カメラの心臓部(?)の受光部です。CCDかと思いきや、CMOSらしいです。
解像度が256×256。つまり約7万画素だとおもうのですが、ミーシャのホームページの公開データによると、25万画素、という事です。なぜでしょう?RGB各色に付き7万画素としても、20万画素?まあ、この辺はCMOSイメージセンサーの構造を知らないのでわかりません。
と、こんな感じでした。はっきり言って、こんな物でデジカメが作れてしまうというのが驚きですね。

・通信プロトコルは?
とりあえず、解析はしてみたのですが、はっきりいってほとんどわかりませんでした。
ミーシャ側を基準に考えて、ステレオプラグの先端はクロック入力、次はデータ出力、もちろん根本はGNDなのですが、それ以上が全然わかりません。
クロックのたち下がりでデータが変化するようです。
また、8ビット単位でのデータが送られてくるようでした。256バイトで1ラインとして、1ライン毎にダミーのビットが10ビットありました。
また、1ライン毎に少し転送を待たないといけないようです。どれだけ待てばいいのか、というような信号はミーシャ側は送りません。すべてソフトで適当にタイミングを取らないとダメなようです。
で、なぜかこのようにして取り出した256×256バイトの写真は、上下左右方向に128バイト分ずれています。不思議です。
あと、256×256バイトのデータが、二固まりで1枚の写真になるようです。
つまり、RGBやYUVではありません。これが1番謎です。
輝度情報と色相情報と考えるのが妥当だとおもいますが、ここからRGBへの変換式がわからなかったので、結局転送ソフトを自作することは出来ませんでした。

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裕之  
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