Victor HC-90/HC-95の謎

どこよりも詳しい(嘘)HC-90/HC-95情報です。
だいぶ前に日記に書いた内容に補足。

まずHC-90とHC-95の違いはFDDが1ドライブか2ドライブか、のみ。それ以外の違いは無い。
なので、以下HC-95に記載統一。
しかし、メモリ容量が違うなどの情報が混在してるのは、HC-95(無印)、HC-95(A)、HC-95(B)、HC-95(V)、HC-95(T)の5バージョンが存在し、実際にスペックが違う。
底面の形式名称パネルで判別可能。
以下、それらの違いについてサービスマニュアル抜粋+コメント。


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・HC-95(無印)

初号機。
持ってないっす。
FDDの形が、ディスク挿入部とイジェクトボタンが別穴のパネルとなっていて、
ドライブユニットのフロントパネルが外見から見えないのが大きな特徴。

・HC-95(A)

バージョン2。外見ほぼ変わらず。
ちょっと改造して穴開けてあったりステッカー貼ってあったりするのは気にせず。
サービスマニュアル紛失してしまいました。
FDC関連のマイナーチェンジ。機能追加は無しのはず。

・HC-95(B)


バージョン3。
搭載FDDが変更になる。ドライブユニットのフロントパネルが外見から見える形。
サーチスイッチ(VHSのサーチ時など、不正確な同期信号を検出したときも、
内部同期とせず強制的にスーパーインポーズ可能になるとな機能)の追加
S端子出力ボード(オプション)用に、内部のアナログボードにY/C出力用コネクタが
追加される。(つまり、無印と(A)はS端子ボードを付けてもS端子出力できない)
デジタル部は変更なし。
※写真はリアスロット上段にS端子I/Fが付いています。

・HC-95(V)


バージョン4。なぜかサービスマニュアルがイラストに。
HC-95(B)と外見ほぼ変わらず。
エンハンサー調整が無くなる。
スルースイッチ追加(強制的に外部入力映像を出力させるもの)。
RFコンバーター削除。モノラルオーディオ出力追加。
メインメモリが256KBとなる。
キーボードの接続コネクタがD-SUBっぽいものに変更になる(ただし2.54mmピッチ)。
VDPがV9958に変更になる。BIOSはMSX2のままなのでスペック上はMSX2だが、一部VDP直接アクセスのMSX2+のソフトが動くようになる。
もうこの頃になるとどうせ業販向けにしか売ってなさそうだから、専用テロッパソフトとかでHW横スクロール使ってたのかも。
※写真はリアスロット下段にNAPLPSボードがついてます。

・HC-95(T)

バージョン5。
持ってないっす。
HC-95(V)とほぼ同じ。FDDのみ変更。

specをまとめるとこう。
versionRAMVDPRF出力モノラル出力エンハンサースルーサーチキーボード
HC-9564kBV9938box
HC-95(A)64kBV9938box
HC-95(B)64kBV9938box
HC-95(V)256kBV9958DSUB
HC-95(T)256kBV9958DSUB

背面外見をまとめるとこう。
version サーチSW RF/モノラル出力 キーボード
HC-95
HC-95(A)
HC-95(B)
HC-95(V)
HC-95(T)
つまり無印と(A)は機種名表記見ないと外見判別不可、(V)と(T)は背面判別不可。
※ちなみに正面外見で見分けると稀に例外パターンがあるらしい(後述)ので背面で見分けるのが確実。


●専用バス用オプションハードウェア(一般?販売品)
・IF-1000 OLELS I/F&soft:タイムコード編集データ処理システム 定価:70万円
持ってないっす。詳細情報もまったくわからんっす。写真すら見たことないっす。
値段的にボードだけじゃないだろうなあ。

・IF-2000 VTRインテリジェントコントロールユニット:業務用VRコントローラー 定価:10万円
・IF-2001 VTRコントローラーI/F:IF-2000とのI/F 定価5万円

持ってないっす。
BR-8600というガチ業機な編集用VHSデッキを2台つないで使う。
こんなの→https://aucfree.com/items/b515423907
IF-2001は96pinバス用のI/Fボード。中身は汎用ロジックだけのほぼGPIO的な単純なもの。
27128が乗るICソケットが付いてて、ユーザーでROM乗せてね、っていうトンデモ仕様。
なんでこれ5万円もするの。
IF-2000のほうはCPUとか載っててゴリゴリにVHSデッキとコマンド投げあったりする。

・IF-C9C VHD I/F:インターラクティブ機能可 定価:3万円
持ってないっす。
VHD言語のゲームとかできる奴。
VHD I/Fの基本的な構成としては、MSXからは拡張BASICとVHD言語インタプリタ用のROMと8255が見える。
8255のポートの先には、VCMと呼ばれる、VHDとコマンドのやり取りをするCPUがつながっている。
それとは別に、DILと呼ばれる、VHDから受信したデータ(コマンド応答とかステータスではないデータ。VHD言語とか)をデコード(インタプリタではなくあくまで復調)するCPUが載っている。DILはMSXから直接見えるものではなく、VCM<->DILの間でやり取りをして、MSXからはVCM経由でデータを受信する。

・IF-C9D VHD タッチパネルI/F:RS-232C準拠シリアルI/F付 定価:3.5万円
持ってないっす。
たぶんVHD言語のゲームはできない。板自体はIF-C9Cと同じ。DILとその周辺が乗っていない。
かわりに、Z180の内蔵UARTを外に出すためのレベルコンバーターが載っている。

・IF-C40SK S-VIDEOインターフェース、第2水準漢字ROM付 定価:5万円


アナログ部は基本的にはビデオアンプ。RGB→Y/Cへの変換はこのボードではなく本体側で行う。
なので、本体がY/C出力対応している必要があるので、HC-95(無印)とHC-95(A)はS出力は対応できない。
第2水準漢字ROM付。


実際にHC-95(B)以降ではこのように内部から元々Y/C信号がケーブルで出ていて。96pinバスとは別のコネクタで接続する。
そのため物理的に上段にしかつかないことになっている。上段スロット空なら電気的には下段スロットにも付きそうな気はする。

・HC-A801MJ メモリ増設キット:メモリを256K、または512Kバイトに拡張 定価:4万円

内蔵用。256KB分のDRAM単体(8個)+256KB増設ボード+マッパー制御ボード。
もともと内蔵してある64KB RAMボードのDRAMを256KB分のDRAMに差し替えて使う。
取説は紙ペラ1枚だけだった気がする(ジャンパピンの設定とかが必要でそのあたりが書いてある。マッパIOについても書いてあった記憶)。
RAMボード単体売りは無い(はず、サービスパーツとしては出た)ので、HC-95(V/T)を256KB→512KBにしたい人はどうしたんだろうなあ。まあこの頃って普通に個人でもSC行ってサービスパーツ注文できたけどね。
というか当時貧乏お子様だったので4万円なんて大金出せませんでしたので、マッパー制御ボードとDRAMだけサービスパーツで取って256KBだけ増設しました。

・HC-A902K 第2水準漢字ROMボード 定価:3万円
持ってないっす。
中身の詳しい情報もわからないっす。IF-C40SKのアナログ回路無し版?

・HS-D8000 NAPLPSデコーダソフト(おそらくNAPLPS I/Fボード付き) 定価:6万円
ソフトは持ってないっす。
恐らくついてくるボードはこれ。


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DOS1カーネルを改造して本体内蔵マッパーをRAMDISKとして使えるROM、
NAPLPSデコード用の拡張BASIC、
32KByteのワークRAM、
8KByte eep-rom、
第1第2水準漢字ROM(PC9801フォント?)
Z180のUART外だし
が載っている。

●その他よくわからないもの
・96pinバス用モデム
MSXマガジンに写真だけ載ってた。それ以外まったく不明。

・HDD搭載機
存在は確実だが詳細は謎い。
葛西臨海水族園の情報資料室というところで1992年ごろに運用されていたという資料はある。
NMS8260あたりが怪しい。ST-506とかそのあたりっぽい。SASIとかの時代ではなさそう。
だとすると背面スロットに入るとは思えないので、FDD1台潰して入れるしかなさそうだからHC-90専用かも。

・LAN搭載機
HDD同様存在は確実だが詳細は謎い。
これも上記資料に記載あり。まったく詳細不明。

・顔違い機
(1)HC-95(T)の顔のHC-95(A)
少なくとも存在が2台確認できた。
https://aucview.aucfan.com/yahoo/f1030023974
https://blog.naver.com/zeta6262/80208711566
シリアルが違うので間違いなく別個体
非公式な2個イチって可能性が一番大きいが、HC-95(A)のドライブがEOLったおかげで、公式でドライブ修理したときにドライブ2台とも交換されて顔も交換された可能性が微レ存。
ドライブ1台3万円以上するから修理代めっちゃ高そう。
(2)HC-95無印or(A)顔のHC-95(B)
https://aucview.aucfan.com/yahoo/l1057860769
サーチスイッチ付、boxヘッダキーボードなので中身は(B)。FDDは無印or(A)。
こちらも非公式な2個イチだろうとは思われるけど、もしかして(B)への移行期に(A)顔の(B)ってのが存在したのかも。


ちなみに、HC-90/95はテロッパとか上記わけわからないシステム用として業販が細く長く続いていて、実はA1GT販売終了後も販売していた(はず)。


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裕之  
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